§現在の米株状況
米国株が下落への変化へトレンドに入っている可能性が出てきた。高値からの下落率で、ダウは-7.3%、ナスダックは-15%となっている(2022年1月21日現在)。特にナスダックは10%下落を超えて、弱気相場に入った。しかし、直近のISMの製造業58.7・非製造業指数62が表すように、米国経済は絶好調。
では、株価下落は、何が引き起こしているのだろうか?そして何を予兆してるのだろうか?
お名前.comダウ週足チャート
§下落の要因は?
下落の要因はインフレと平均時給、更には利上げとQTだと考えます。↓のデータで示されるように次のことが言えます。
インフレ率7% > 平均時給伸び率5%
※2022年1月現在
米国インフレ率
出展:https://jp.tradingeconomics.com/united-states/inflation-cpi
米国平均時給
出展:https://jp.tradingeconomics.com/united-states/average-hourly-earnings-yoy
給料が上がる割合より、物価の上昇が速いということです。コロナ前まではインフレ率と平均時給はバランスがとれており、経済が順調に成長していました。しかし、直近では二つの乖離が大きくなっています。主な要因は供給制約だと言われています。この状態が続くと、予想される未来は一つです。消費者の購買意欲が無くなり、経済が減速します。このため、バイデン大統領とパウエルFRB議長はインフレを抑制し、購買意欲を活性化させようとしていると思います。それが利上げとQTです。しかし、利上げとQTでインフレを抑制し、購買意欲が活性化される?はかなり疑問です。単純に企業活動を減衰させ、不況を招くだけの気がしますが、、、
では、前回の利上げ・QTで株価がどうなったか見直しましょう。
wpX(ダブリューピーエックス)§前回の金融引き締めスケジュール
以下の表が前回のスケジュールです。特に利上げ近辺のダウの動きに注目してみます。
スケジュールとダウのチャートを見比べてみると、9月の利上げ検討で15%下落の暴落。利上げ後に再度暴落と見れます。当時は米中貿易戦争やISM指数などが悪いなどの材料もあったので、単純に利上げのみで下げたとは言えないかもしれません。しかし、利上げが株の下押し材料であることは間違いないでしょう。
更に当時のイエレンFRB議長は「緩やかに」と再三強調しながら利上げを宣言。ハト派姿勢を鮮明にしていました。しかし、現在のパウエル議長はタカ派に転向しています。更にブレイナード理事もタカ派に変更しました。FRBの援護射撃は期待できないと考えて良いでしょう。
Xserverドメイン米国ダウのチャート1
米国ダウのチャート2
§今回の金利引き締めスケジュール
今後の投資は金融引き締めスケジュールを考慮しながら、ポジションコントロールが必須と考えます。利上げ回数は3回、利幅は0.25です。3月のガイダンスで回数増加や、利幅が大きくなるかが注目です。
§今回のその他悪材料
1.世界銀行の成長率見通し
世界銀行が成長率見通しを発表しました。この予測によると世界の成長は鈍化するそうです。前回発表から殆どの地域で下方修正されています。世界銀行の特性として、下方修正は連続します。これから、景気の鈍化は更に進行すると世界銀行は未発表文書で検討している可能性があります。
2.米国小売売上高の減速
1/14に発表された小売売上高は前年同月比0%(予想)に対して、ー1.9%と減速を示しました。予想を下回るのは2カ月連続です。
3.中国GDPの減速
2018年と2015年は特にGDPの落ち込みが激しかったようです。連動するように該当する年の上海総合指数も下落しています。2021年は下落しなかったのが不思議なくらいですね。今後もGDP減速が止まらなければ、株価下落の不安が想像されます。